合奏上の注意

祝典を演奏する上での注意点をまとめておきます

祝典は現役の演奏会でやってますし、またTKWOのCDも発売されていて有名なので、既に頭の中に「こう吹くんだ」というのができあがっていると思いますので、それを重視した演奏をすればよいと思います。合奏でもテンポ等ほとんどいじっていないはずです。記譜通りに吹けば良いように聞こえてくれるというすばらしい曲ですので、とにかく正確に吹くことを念頭に置いて演奏してください。

正確に吹くということ(全体を通して)

強いて演奏上のポイントを上げるとするならば「シンコペーション *」です。そもそもスパークは2拍子と3拍子の魔術師なので、2拍子と3拍子が交差する部分では必然的にシンコペーションは多発しますし、全員が同じリズムを吹くような場合でもシンコペーションは非常に多いので注意が必要です。

* シンコペーションとは、本来(理論的に)アクセントがない時間点にアクセントが存在するリズムのことをいいます

例えば何気なく吹いているかもしれない冒頭部のトランペットのリズムを見てみると、2小節目は以下のようになっています。

冒頭部2小節目のトランペット

一般に4分の4拍子の場合は各拍にアクセントがあります。また2、4拍目よりも1、3拍目の方に強いアクセントが置かれます。ところがこのトランペットの動きは、2拍目の「裏」にアクセント記号が書かれてますし、4拍目にはsfもあります。理論的なアクセントの位置とは異なる位置にアクセントが置かれているわけです。このシンコペーションは冒頭部において非常に重要で、7小節目では同じリズムがffで演奏されますし、16小節目ではfffのtuttiで演奏されます。また練習番号C以降のリズムの元にもなっています(伴奏系の人のアクセントはまさにこのままですし、旋律にもこのアクセントがついたリズムが現れます)。

というふうにこれは大切なリズムですので間違っても

こう吹いてはいけない

こんなふうに吹いてしまってはいけません。これではこれ以降のリズムが台無しです。

こんなふうに間違って吹かない、というのが、正確に吹くと言うことです。今一度いつも自分がどんなふうに吹いているのかを想像しながら譜面を眺め直して欲しいと思います。

1楽章の注意点

キモは練習番号Gです。上記のようにシンコペーションはアクセントの位置が大切ですが、ふつうアクセントが置かれないような「裏拍」にアクセントが置かれると、それを含むリズムのまとまりを時間的に正確に吹けなくなってしまうという副作用があります。人間は、アクセントの存在しない時間長をうまく知覚できないからです。Gの2小節目の1、2拍目の休符はしっかり休むようにしたいところです(6小節目も同じ)。

Gはリズムも大切ですが、音量も気にして欲しい部分です。Gの1小節目はcresc.ですが、ffは5小節目まで続きます。当然3小節目もffキープなのですが、リズムや音高の性質上3小節目もなんとなくcresc.になってしまいがちです。ffを意識しながらなるべくcresc.にならないようにしましょう。

2楽章の注意点

実は記譜上では2楽章にはテンポの変化があるのですが、まぁ気にしなくていいと思います。適当にナチュラルritがかかっていればOKです。

2楽章で一番大切にしたいのは音量の変化です。cresc.・decresc.および強弱記号は記譜通りに差を付けて欲しいですが、特に忘れやすい・間違えやすい部分をメモしておきます。

Larghetto con rubatoの2小節目4拍目のcresc.
このcresc.は次の小節の「mp→sf→p」の前振りです。次に何か来るな、という予感をさせることで次のsfがとても気持ちよく聞こえます。
Larghetto con rubatoの5小節目2、3拍目のf
ありがちな過ちは3拍目でdecresc.してしまうこと。そんなことは決してせずに、絶対に3拍目もfをキープしてください。Larghetto con rubato3小節目の 「mp→sf→p」が一瞬で消えてしまう響きであるのに対して、ここではある程度持続性を持った響きが欲しいです。
 Larghetto con rubatoの7、8、9小節目
cresc.とdecresc.がありますが、これらの小節において一番強くなるのはもちろん3拍目です。決して2拍目ではありません。寄せては返す波のように、記譜通りのcresc.・decresc.をかけてください。

3楽章の注意点

3楽章はテンポとの戦いです。基本的に中間部のCantabileが美しく聞こえるテンポで吹きたいですが、このCantabileを基準にテンポを設定すると前半後半部が運指的にかなりきつくなります。Cantabileだけテンポを変えるというのもおかしな話ですので、前半をどれくらいのテンポで演奏できるかがポイントになります。みなさん運指がんばってください…。

さて3楽章はCantabileの部分が秀逸です。非常に美しい。そしてTKWOのCDが奇跡的といっていいほどウマイ。ポイントは大きく2つあります。伴奏系の音量バランスと旋律の歌い方です。

伴奏系の音量バランス

ここでいう音量バランスが大切になってくるのはHrとEuphです。Hr内でバランスが取れているのはもちろんのこと、そのHrとEuphも「イイ感じ」でバランスが取れている必要があります。Euphの人は(動きは低音と同期しているのですが)むしろHrを意識して和音を作ってみてください。

あ、低音の人は歌いすぎないように注意してください。気持ちよくて歌いたいのはよくわかりますが、「減速厳禁」でお願いします。

旋律の歌い方

細かいcresc.・decresc.があります。もちろんこれをしっかり表現するのも大切ですが、もっと大切なのはCantabileからSにかけて(そのあとも同様の形がありますが)一つのメロディとして歌うと言うことです。絶対に木を見て森を見ずということにならないようにしてください。Sの4小節前がメロディの山になりますので、Cantabileからその山のてっぺんを目指して歌うようにしましょう。

また、旋律の歌い方に大きく影響はしませんが、例えばCantabile4小節目2拍目の3連符にはcresc.はついていませんので、さらっと吹いてください。とげとげしくでこぼこに聞こえないようにしてください。前後の3連符にはcresc.が付いているので間違えがちです。